「ちょっと、横取りじゃないですか?」
春日さんが男達に指差すと、その内の一人は耳の中にあったものを外した。
あ、耳栓をしてたから、わたしの“命令”に反応しなかった……?
超能力を対策できるってことは、発動条件や内容をよく知られているということ。
まさか、わたしを捜してた、百鬼会?
「『南蜘蛛様』が先に捕まえたら。そういう話でしたよね?」
「今捕まえるとこだったでしょ~?」
「ですが先に捕まえたのは我々です」
《心理》を拘束し、銃を奪う男達。
残りの二人が耳栓を外さない限り、“命令”を使っても意味がない。
なんにもうまくいかなかった。
わたしは……ほっとしている自分に絶望する。
せっかく《心理》が頑張ってくれたのに。
わたしがもっと気を張っていれば。
これで春日さんから離れなくていいんだ。
この街から出なくて済む。
相反する気持ちがぶつかり合う。
でもどうしたって本音は……後者の方なんだろうな。
無抵抗で項垂れている《心理》に向かって口を開く。
「《心理》……ごめんね」
「違う、おれが、全部……」
「ううん……」



