「くそ……、なんで読めないんだ」
拳銃を握りしめた《心理》が小さくこぼす。
わたしのときと同じ。初めて超能力が通用しなくて、戸惑っている。
「《心理》も、りんと一緒にいたいんだよね。だったら俺のとこに来たらいいよ」
「何言って……」
「ほら、俺って『南蜘蛛様』だからさ。みんな結構気を遣ってくれて、近くにいたら安全だよ?」
「っっ……おれはそんなのがほしいんじゃない。《支配》はうまく洗脳できたのかもしれないけど、おれは騙されないっ!」
せ、洗脳って……。
《心理》、そんな風に思ってたの?
「《支配》が誰の言いなりにもならないで、笑顔で、自由で、幸せな暮らしができる場所は、ここにはないんだ……っ!」
怒号が遠くまで反響する。
春日さんは涼しげに笑みを浮かべているだけ。
何かに視線が移って……驚いた顔をした。
「あ、こら咲」
鈍い音が鼓膜を震わせる。
隣にいたはずの《心理》が、吹き飛ばされて。
「どんな理由だろうが、人を殺せば人殺しだ。でもこの街じゃ誰も気にしねェ。だからオレは許さねェ!」
百鬼さんが傍らに立っていた。



