排他的に支配しろ



 朝日と共に出発した。


 この先の人生に必要がないから、一刻も早く春日さんのことを忘れないといけない。

 春日さんが本当は悪だろうと、わたしが感じた善だろうと、……もうどうでもいいんだ。

 決断と呼ぶには、あまりにも不安定な決め方だった。


 《心理》が考えた道順の通りに進んでいく。

 人と出会わないように。もし逃げられない状況になっても、超能力を駆使すればいい。

 見つかるまでの索敵は《心理》。見つかった後の足止め、口止めはわたし。


 ……こうするために、春日さんから許可をもらったわけじゃないのにな。

 浮かんだ文章はすぐに打ち消す。


 余計なこと、考えないで。

 わたしはやるべきことをやればいい。



「ここの路地を抜けたら──あぁ……。《支配》、お願い」



 路地の入口から、出口から、囲う建物の上から、ぞろぞろと人が現れる。

 とても太刀打ちできる数ではない。



「やっと見つけたぜ、灰。大人しく捕まっとけよ」



 《心理》の顔と偽名が割れているということは、全員KEEP OUTだろうか。