排他的に支配しろ

side春日





 嫌な汗が頬を伝う。

 心臓が痛いくらいに脈打っている。

 息遣い一つで全てが変わるような重みを抱え、最後の引き金を引いた。


 ──銃弾は不発。



「はぁっ、はっ……」



 ドッと噴き出した汗がシャツを湿らせる。

 勝って、しまった……。

 唯一の実弾は俺の手に残った。



「さすが南蜘蛛様だ。……と、キミに言うのは初めてだな」



 天鳳が手を差し出す。

 ここで銃を渡せば──



「っはは……」



 湧き出てくる高揚感。

 初めて自分が、南蜘蛛家のように無敵になった感覚だった。


 俺は銃を天に向け、一発撃ち込む。

 これで銃の中は空っぽだ。



「勝負は俺の勝ちです。天鳳さんが負ける必要はないですよね?」



 空になったものを天鳳に返す。

 天鳳は数秒間銃を見つめ、部下に戻した。



「キミはとことん南蜘蛛という街に向いていないな。半端な慈悲はいつか身を滅ぼすぞ」

「まぁまぁ。どっちにしろ生きてればいつか死にますから。ちょっとでも長い方がよくないですか?」


「……そうやって、咲にも慈悲を与えたのだろう」

「いや? 雨の日に傘をあげただけですけどね?」