「そういうわけじゃ、……ないよ」
《心理》に読まれないからって嘘を吐いた。
表情や態度の動きくらい、彼にもわかるというのに。
「……、なら、これ見て」
《心理》が壁沿いの簡易ベッドをずらす。
現れたのは、床にびっしりと描かれた地図だった。
これ、は……。
一目で、《心理》がどれだけ時間を費やしてきたかを知らしめられる。
「脱出ルートはいくつか絞ってある。現在地がここで……」
《心理》の指が地図の道を辿っていく。
胸がざわざわと騒ぎ始めた。
わたしと《心理》の間には、明確な温度差がある。
未練ばかり抱えて、中途半端なまま街から去ったら。また、わたしは後悔するだろう。
同じことの繰り返しだ。
「し、《心理》。わたし、」
打ち明けようとするわたしの口を、《心理》が手で塞いだ。
なんで……。
「お願い。今日じゃなくていいから、考えて」
ぎゅっと温もりに包まれる。
「おれは、これからも《支配》と生きていきたい。一番大切だから、……特別だから」



