排他的に支配しろ



 無理にでも納得できる理由がほしかった。

 心がぐちゃぐちゃになるのになんとか耐えたかった。

 《心理》と話している間も、頭に浮かぶのは春日さんのことばかり。

 わたしは今、春日さんを裏切っているのだ。



「さっきから……誰か見てるな」

「え……?」



 歩みを止めた《心理》を真似して辺りを見回してみるけれど、誰もいない。

 ぐるりと視界を一周させた《心理》が最後に見たのは……わたし。



「……ああ、ここからか」

「あっ……」



 手が伸びてきて、掴まれた──チェーンに通した指輪。

 心臓が嫌な音を立てる。

 やめて……、それだけは。


 初めて人からプレゼントをもらった。

 彼の瞳に似た、透き通った宝石。

 絶対なくさないように、って誓ってた。


 どうして嫌なことはあっさり起こってしまうの。

 強引に引っ張られたチェーンは、プツリと綻びを作る。

 首から、繋がりが離れていくような感覚がした。



「勝手に盗み見んな」



 《心理》は指輪を地面に落とし、踏み潰す。

 パキリと小さく鳴って、足を上げた後には綺麗な石が割れていた。


 ……わたしが、二度と春日さんの元に戻れないのを表しているみたい。


 悲しいとか、おこがましいことは考えない。

 これがわたしの選んだ道なんだ。