排他的に支配しろ



「超能力は違法なんでしょうか……」

「さあ。俺は超能力なんて信じてないから、どっちでもいいかな」

「え」



 てっきりわたしの話は信じてくれたものと思っていたのに。使用したところも間近で見ていたではないか。

 作り話だと思われていたのが悔しい。思わず服を握りしめてしまう。

 そんなわたしを見かねてか、春日さんが軽く温情を投げてくれた。



「試しに使ってみたら?」

「……いいんですか?」

「どーぞ?」



 コードネーム《支配》。

 わたしの能力は、他人へ言葉に乗せて“命令”することで自動的に従わせることができるというもの。

 春日さんにしてほしいこと……、は。



「……“わたしの名前を呼んでください”」



 あ、これじゃわたしの欲が丸見えだ。

 言ってから羞恥が襲ってきた。


 で、でも大丈夫。これは疑問を持たれずに叶う能力だから──



「へえ、俺に名前を呼んでほしいんだ」

「……え、? ど、どうして」



 普通なら、勝手に口からこぼれ落ちているはず。

 思考を挟む隙なんてあるわけない。



「あ、今のが超能力だったの? ならわざと呼ばないようにするけど、これって失敗?」

「し、失敗……したことないのでわかりません」