目覚めると彼女のいる生活は、どこまでも安心した。
隣で眠るりんの頬を撫でる。
彼女は温もりを逃すまいとするように、俺の手のひらへ頬を押し付けてきた。
……罪なくらい、甘え上手だ。
ベッドの中で強く閉じ込める。
たまたま助けたのが俺で、彼女に危機感がなかったから懐かれた。
俺みたいな悪い大人に捕まり、右も左もわからないまま籠絡されて。
本当に、可哀想。
名前を呼んであげたときの、喜びに満ちた表情に悪い気がしなかったのが最初。
南蜘蛛の怖さをちょっと体験してもらって、後は周りの有能な人達に任せようとしてたんだけど。
彼女は思ったより俺への信頼を置きすぎていたみたいだった。
助けたのなんて、パチンコに負けた憂さ晴らしだ。
真っ当な正義感を南蜘蛛で持っても意味ないんだから。
「んん……」
静かな寝息を立てていた少女の長いまつげが震えた。
「おはよう、りん」
「んあ……おはようございます」
名前を呼ぶと、くすぐったそうに一瞬目を細めるところが可愛くて仕方ない。
な~にが口寂しい、だよ。



