そんな未知をもっと知るために始められたのが、間違える人間達を集めて観測するための街作り。
百鬼会と契約し、シマを一つの街として運用する計画だ。
形ばかりの管理者代表に選ばれたのが、俺だった。
仕事は街の管理という名の自堕落な生活と、その報告。
月に一度南蜘蛛家に帰り、街の様子と俺のカスみたいな生活を晒す。
彼らが一番喜ぶのが俺の失敗談だ。
決して馬鹿にしているわけではない。南蜘蛛家の人間が失敗する、というあり得ないことが起こる俺を『奇跡』だと崇めているのだ。
そんな特別、求めてないけどね。
南蜘蛛家の価値観は、世間一般とは大幅にずれている。
あのまま家にいるとおかしくなりそうだったから、俺としても都合が良かった。
けど俺を知る街の住民は、やっぱり俺のことを南蜘蛛家の春日として見る。
能力に見合わない肩書きを背負う俺を権力者として扱う。
「俺のこと素敵だと思ってるの?」
「思って、ます」
──ただの春日を素敵だなんて言い出した人は、彼女だけ。



