排他的に支配しろ



 生き残ったわたしは別の場所で研究を続けさせられることになったけれど。

 今この通り、先生達に逆らって逃げてきたというわけだった。


 ふう、と息を吐く。

 話し終えたとき、春日さんの顔を見るのが怖かった。外の世界では、信じてもらえることなのかわからなかったから。

 虚言だと思われてしまえばそれまで。



「なはは、そりゃ災難だな~」



 しかし、返ってきた反応は明るい笑い声。

 冗談だと処理されてしまった……?



「それで?」

「……え?」

「りんは何がしたくて逃げてきたんだっけ?」



 車が止まる。目的地に着いたようだ。

 けれど、わたしの視線は春日さんから離せない。

 春日さんの瞳に一度閉じ込められれば、体は言うことを聞かなくなる。

 “命令”されているわけでもないのに……どうして。


 何をしたいのか、なんて考えずに逃げてきた。

 これ以上先生達の言いなりになってはいけないと、衝動的に。