やっぱりそうか。
どう足掻いたとしても、連れてこられた時点で手遅れなのだ。
「出たいの?」
春日さんの質問は居心地が悪く、押し黙るしかなかった。
出たいか、出たくないかで聞かれたら──出たい、とまっすぐ言うことはできない。
わたしが求めていたのは、自由。
この街にいる限り、制限され続けること。
それでも。
この街には、春日さんがいる。
「今は……そんなに考えていないです」
「そっか、安心した」
安心……?
不思議に思うわたしを春日さんは包む。
温かい。街に来なければ知ることのなかった温度。
「りんと離れたくないから」
ドッ……と心臓が暴れだす。
春日さんと出会わなければ知らなかった感情。
「わ、たしも……です」
この答えは危険だと気付きながらも。
足はもう戻らない。



