網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。

「え、あんなに綺麗だったの・・・?」


蘭ちゃんも驚きのあまり固まっている。


揺れているのは感情とポニーテールと、大きいその瞳だけ。



クラスのみんなは、


「うっわー・・・明日世界が終わっちゃったりする?」

「俺もそんな気がしてきた。
 誰か動画撮ってた奴いない?世界が終わる前に見ておきたい」

「・・・指名いっぱいのベテランキャバ嬢みてぇ」


言いたい放題な男子たちと、


「まって、あんた近い席じゃん。どうだった?」

「・・・肌エグい。目もエグい。髪型も完璧。他のセンスについては完璧すぎて私じゃもう判断できない域」


憧れに目を輝かせて、メイクの研究に勤しむ女子・・・
大体、この二つに分かれていた。


――それにしても、目があったとき・・・何というか、動けなくなった。


息の仕方がわからなくなって、一瞬・・・ほんの一瞬だけど恐怖と似た感情を持った。


蛇に睨まれた蛙?


睨まれたわけじゃない。