網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。


なんて、自分の中で実況中継をしてる間に。


ツカツカと歩み寄ってきていた先生。


「寝ていたのはお前だ、清水」


持っていた教科書を丸めて頭を叩かれた。


「・・・いてっ!」

「少しは覚醒しろ。俺の名前がわかるか?」


さすがに舐めていると思って差し支えないだろうか。

思いっきり大きい声で答えてやる。


南部(なんぶ) (れい)、27歳高校化学教師!ちなみに生徒からはそこそこモテてます!」


クラス中が笑いに包まれる。


ちなみに私は、ケラケラ笑ってる蘭ちゃんが気に入らない。


「座れ清水。そんなことを言っても、俺は成績を上げるようなことはしないからな。
 今後はその口を慎め」


ため息をついた先生の言葉にも、クラス中で笑いが起きた。