網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。


「――今日は、中学でやったイオン化傾向の・・・」








先生の言葉も、頭には一つも入ってこない。


左から入って右に抜ける直通が、片道のみ有効で絶賛運行中。


一応予習はしてあるし、得意な単元だから許して。


っていうか蘭ちゃんはもう既に舟をこいでるんだから、マシだと思って。




「・・・はぁ」


先生に聞こえないようにため息をついて、頬杖までついた。


今日くらいは授業態度、許して先生。