網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。

一瞬、何が起こったかわからなかったけど。


状況的に見て、それしかなくて。








「な、にして・・・」






――噛まれた。






衝撃のあまり、何秒か固まっていたことに気づく。


「っ、」


「だめ」


すぐ逃げだそうとするけど、またもや察していたであろう春夜に阻まれてしまった。



「・・・っ、」


「ちゃんと見して」


春夜は噛んだところをじっと見た。


ふっと満足そうに笑って、もう一度顔を近づけてくる。


「っ・・・」


さっきのがあって、ビクッと反応してしまう身体。


でも予想していたような痛みはなかった。


かわりにほんの少し柔らかい感覚と、小さなリップ音。