網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。

湿ったタオルで、傷の周りの血をぬぐってくれる春夜。



「・・・いつ気づいたの?傷」


「一時間目が始まる直前から。

 沙月は何言っても授業に参加するって言いそうで黙ってた」


えっ・・・。


ええと、多分そう・・・だけど、私そんな頑固って思われてた?



「・・・ありがと・・・っ、ぅ」


言葉の途中で、急に傷に近いところに触られて痛みが走る。


春夜が視線を上げて、


「悪い。痛かった?」


って訊いてきたから、こくりと頷く。




それを見た彼は今度はぽんぽんと優しくガーゼで拭いてくれるけど、私は痛みに顔を少し歪める。


「っ、・・・ぅ・・・」


でもなんとか我慢・・・っ。


手つきから、できるだけ痛くないようにしてくれてるのがわかるから。


「もーちょっと」


「・・・うん、」



頑張って、傷口の周りの血は綺麗になった。