網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。

「・・・え」


この声は彼のものじゃない。



私のもの。


だって思ったよりひどかったんだもん。


シュって斜めに10㎝くらいのびた傷。


さっきやっと傷が塞がったって感じで、靴下にも血が染み込んじゃってるところが。


・・・これは気づくわ・・・。




「痛くなかったの」


「うん・・・最初は痛かったけど、しばらくしたら少しヒリヒリするくらいで」


「・・・そーゆーとこ」



・・・?


ため息をつく春夜。



そういえば、今ベッドの上に座ってる私は、かがんでる春夜を見下ろす形になってる。


髪・・・サラサラだなぁ。




気づかないうちにじっと見つめていたみたいで。


「なんか面白いもんでもあった」

「っうぇ、違う・・・サラサラだなぁ、って」


「沙月もそーでしょ」




器用に準備をする春夜。


「部類が違うよ」


「何言ってんだか」