網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。




翌日。


デートの呼び出しのはずが当たり前のように帰られたということに、私は初めて気づいた。


っていうか忘れてたのか。




だって・・・!


キスだよ?普通にサラッとするもんじゃないでしょ。


しかもその後の言葉・・・よく考えればすごく恥ずかしい・・・。


色々と考えていて、私は注意散漫になってしまった。




――ドンッ!


「・・・うわっ・・・!」


朝。駅。通勤ラッシュの時間帯。


そりゃ当然、混んでいて。


そして後ろから来た人たちの誰か一人にぶつかってしまえば。


そりゃ当然、転んで。