「…………お嬢様」
夜。
パーティー会場から出てきて、公園のベンチに横並びに座る私たち。
隣の聖司くんから発された冷たい声が、静かな公園に染みた。
「……はい」
「あれほど〝目立つな〟と申し上げましたよね?」
「……ましたね」
「会場入ってすぐ、なにこけてんですか」
「すんません」
ヒールって慣れないしスカートの裾長いんだもんよ。
「それから、突然手を握ってきた初老の殿方が気持ち悪かったのは理解できますが…」
「あれね!ほんっと気持ち悪かった~!ぶるぶるって鳥肌がー」
「しかしながら!『ぎゃあ』などと叫んで取り乱すのは、理解に苦しみます!冷静に対処してくださればうまくかわしてやれたのにあれのせいで会場の視線が一気にこちらに注がれたじゃねーか!バカ!まぬけ!」
聖司くんの敬語は夜空に飛んでって、聖司くんにしてはIQの低い罵倒が降ってくる。
「えへへ、ごめんね」
「まったくもー……」
怒る気を無くしたらしい聖司くんは、背もたれにポスッともたれかかった。



