私は山猿のごとく華麗に木の上に着地した。

「へへー!さすがにここまでは来られまい!悪いね都会っ子聖司くん!次回頑張るわ!」

よーしじゃあこのまま下に降りてー……


「…いいんですね?」





聖司くんのこれ以上ない低い声に、嫌な予感がしてゆっくりと振り向く。

聖司くんの背後にゴゴゴ……と暗雲が垂れ込めて見える。

「あと5秒でお戻りください。さもなくば…」

聖司くんの暗い目が、ギンッと光った。

「お嬢様の大事なコレクション全捨ていたし

「分かった戻る戻りますただちに戻りますから!」

この人はやる!本気でやる!

私の愛してやまないウサギモチーフの推しキャラぴょぴょんぴょんの何年もかけて集めたレアグッズ達を、秒で葬り去ってしまう!!

涙目で窓まで戻る私に、聖司くんはニッコリと微笑んで手を差し伸べた。

「賢いお嬢様で助かります」