「“ウィザード”って店はこのあたりのはずだけど・・あともう少し先か。雅希、大丈夫か?」
「うん。人多くないから大丈夫」

それに今のところ、薄く視えた人はまだ一人もいない。
もしウィザードに行く途中で、すれ違った人が薄く視えたら・・・速攻家に帰る?

自分で出した答えに、私は小さく顔を左右に振って否定した。

「雅希?」
「大丈夫」

ここまで来たんだ、ウィザードに行くまで家には帰らない。

「あ、見えてきた!」

「ウィザード」は、今安全な場所へ故意に身を潜めている礼子さんから、父さんを通してもらった紙に書いてあった、礼子さんが推奨する石屋さんだ。
とはいっても「ウィザード」では天然石だけじゃなく、タロットやオラクルといったカード類や本、エッセンシャルオイル等、主に占いやヒーリングに使うグッズを販売しているお店だというのは、事前にホームページを見て確認していた。