その日仕事を終えた菜々子は、早速平野の店を訪れた。
「あーっ! 菜々子ちゃん、来てくれたんだ」
ドアを開けるなり、カウンターの向こうの平野が声を上げた。
「来ちゃいました」と笑顔で応え、「空いてる席どうぞ」と促された菜々子は、窓際の席に腰を下ろした。
「マスタ~ァ、レシピ教えてくださいよぉ」
甘い声で女性客が平野に絡んでいるのが見える。
「それは例え常連さんでも無理っすねぇ。企業秘密ってやつです」
「えぇ~、私達めちゃくちゃ通ってるのにぃ、まだ駄目ですかぁ?」
「教えることは出来ないっすけど、食べて味を盗むのはオッケーっすよ」
平野はカウンター席に座る常連客らしき女性二人を笑顔で躱して、菜々子のテーブルへやってきた。
「菜々子ちゃん、お待たせ。なに食べたい?」
「あの……カウンター席の綺麗なお姉さん達が食べてるのって何ですか?」
「あぁ、どっちもうちのオススメだよ。タンシチューと、デミグラスソースハンバーグ」
「あ、じゃあ今日はハンバーグにします」
菜々子の大好物だ。
「今日は、ってことは、また来てくれるってこと?」
平野が覗き込んで尋ねる。
「毎日来ちゃうかも」
「嬉しいなぁ。じゃあちょっと待っててね」
菜々子の心を擽るような笑みを浮かべて、平野はカウンターに戻っていった。
「マスタ~ァ、じゃあまた来ますね~」
語尾にハートマークを付けて、先程の女性客はほろ酔いで帰っていった。
彼女達も、平野の料理に魅了され、彼に惚れ込んでここに通う客だろう。
「あーっ! 菜々子ちゃん、来てくれたんだ」
ドアを開けるなり、カウンターの向こうの平野が声を上げた。
「来ちゃいました」と笑顔で応え、「空いてる席どうぞ」と促された菜々子は、窓際の席に腰を下ろした。
「マスタ~ァ、レシピ教えてくださいよぉ」
甘い声で女性客が平野に絡んでいるのが見える。
「それは例え常連さんでも無理っすねぇ。企業秘密ってやつです」
「えぇ~、私達めちゃくちゃ通ってるのにぃ、まだ駄目ですかぁ?」
「教えることは出来ないっすけど、食べて味を盗むのはオッケーっすよ」
平野はカウンター席に座る常連客らしき女性二人を笑顔で躱して、菜々子のテーブルへやってきた。
「菜々子ちゃん、お待たせ。なに食べたい?」
「あの……カウンター席の綺麗なお姉さん達が食べてるのって何ですか?」
「あぁ、どっちもうちのオススメだよ。タンシチューと、デミグラスソースハンバーグ」
「あ、じゃあ今日はハンバーグにします」
菜々子の大好物だ。
「今日は、ってことは、また来てくれるってこと?」
平野が覗き込んで尋ねる。
「毎日来ちゃうかも」
「嬉しいなぁ。じゃあちょっと待っててね」
菜々子の心を擽るような笑みを浮かべて、平野はカウンターに戻っていった。
「マスタ~ァ、じゃあまた来ますね~」
語尾にハートマークを付けて、先程の女性客はほろ酔いで帰っていった。
彼女達も、平野の料理に魅了され、彼に惚れ込んでここに通う客だろう。



