「アンチコメントについての思い出ある?」

そう雑談のネタとして聞いた質問に、相棒は

『寿司が美味かったな……』

と関心はスマホに向けたまま、こちらに一瞥もくれずにポツリと呟いた。

『アンチコメ貰ったら俺に言えよ、飯くいに行こう』

その時だけこちらを向いた相棒の言葉によく分からずに有耶無耶に頷いたのはまぁ記憶に新しくは無い。寧ろ古い。

それでも今になって俺がその言葉を思い出したのは、いつからか粘着してくるアンチに余裕が無くなってきた証なのだろう。

少し前に出演するイベントが一緒になり、そこで少し話をした。それがきっかけで数人の人と仲良くなりグループコラボをした。
プライベートでもかなり関わるようになった俺たちは特に仲が良く1部のリスナーからはコンビの様だと言われるほど。

俺が活動を始めて3年くらいだが相手は若い頃からこの界隈に入っており活動歴は10年以上になる。歳はそう変わらずとも芸歴だけは3倍の差がある。

固定のファンがいる大御所のような人にコンビですなんて言えるほど図々しくは無かったけれど『仲良しだもんな、相棒』とニヤリと笑いかけられた時がこそばゆくて、それからはずっと相棒だと自分も思っている。

己にそんな殊勝な心と謙虚心があるとは思っていなくて少し笑ってしまったが。