村は酷い干ばつ続きだった。
彼女が生贄になると決まった。
僕達はその時8歳で、両親ともにいない子供だった。お互いが世界の全てだった。
「女の方が生贄になるんなら、お前の安全は保証してやるよ。」
村の人達にそう言われて食ってかかろうとした僕を止めたのは、やはり彼女だった。
その夜、話をした。
「私たちはここでずっと最低層な暮らしをしているわ。だけどね、私、今とても幸せな気持ちなの。
生贄って知ってる?神様のお嫁さんになるのよ!神様のお嫁さんよ?私はあいつらより偉いことになるじゃない!
だから、大丈夫。私何も怖くないわ。あんたも、幸せになりなさい。」
そう言ってニコニコと笑った彼女は、同じような笑顔で海に身を沈めた。



