ひと駅分の彼氏

動かない真琴の体にすがりついて泣き叫んだ。


必死で目を開けてほしいと願った。


けれど真琴は目を開けなかった。


最後のさよならすら言えずに……真琴は私の目の前から、消えた。


「あの時、なにも答えられずに本当にごめん。俺も、それが気がかりだったんだ」


真琴の体は更に色が薄くなり、後ろの景色が鮮明に見え始めていた。


心臓が破裂してしまいそうなほど早鐘をうっている。


どうにかこの時間が永遠に続きますように。


なんでもします。


これから先の私の人生、すべてを神様に注いでも構わない。


だからどうか、この時間を私から奪わないで!


「目を開けることもできなかったけれど、紗耶の声はずっと聞こえてきてた」


やめて。


そんな話し聞きたくないよ。


ねぇお願い。