ひと駅分の彼氏

「なに言ってるの。まるで私が1人になるみたいじゃん」


強い口調でそう言うと、真琴は今度は優しく微笑んだ。


そして私の手を握りしめてくる。


その手のぬくもりを感じているのに、感触がなくなっていることに気が付いた。


心臓がドクンッと大きく跳ねる。


「紗耶は1人にはならない。優花里ちゃんは俺のお墓まで一緒に行ってくれたじゃないか。それに紗耶の両親も、ずっと紗耶のことを心配してる。他のクラスメートだって同じだ」


いやだよ。


なにそれ。


そんな言葉聞きたくないよ。


だって真琴の言う人の中に真琴自身が含まれていないじゃない。


「嫌だ真琴。行かないで!」


自分の口から漏れ出たセリフにハッとさせられる。


それは事故が起こったあのときも何度も叫んだ言葉だった。