天然パーマは前髪にだけかかっていて、それが子供みたいで可愛いと思った。


「久しぶりだなぁ、紗耶」


真琴は嬉しそうな表情で私の頭をなでる。


すこし乱暴に力を込めて私の頭を撫でるのも、いつも真琴がすることだった。


自分の隣に座っている人が間違いなく真琴だと理解した瞬間、熱い物が目の奥にこみ上げてきた。


それは涙となってこぼれ出てきそうだったから、必死に力を込めて押し込める。


そうすると目つきが悪くなったみたいで真琴が「睨んでる?」と聞いてきた。


「睨んでない」


私は短く答えながらも目の奥に力を込める。


「睨んでるじゃん」


「じゃあ、それでいいよ」


本当に睨んではいなかったのだけれど、もう面倒くさくなってしまった。


「なに? 俺に怒ってるの?」


真琴からの質問に私は黙り込んでしまった。