ひと駅分の彼氏

☆☆☆

「なんだか安心した」


昼休憩の時間、一緒にお弁当を食べていた優花里が微笑んでそう言った。


「安心?」


「うん。だって最近の紗耶、全然元気がなかったんだもん。でも今日、クラスでみんなをまとめているのを見て、元の紗耶に戻ったんだなって思った」


優花里の言葉に私は一瞬違和感を覚えた。


元の私ってなんだろう?


最近の私は、私じゃなかったのかな?


「うん……ありがとう」


複雑な気分で微笑み返すと、優花里は嬉しそうに笑ってくれた。


優花里は私の一番の親友で、互いに一番に心配し合ったり強力し合ったりする存在だ。


だから今の言葉だって悪い意味で言ったのではないと理解している。


理解しているのに、胸の奥はモヤモヤとした気持ちになってしまう。


そんな自分が嫌で電車内でのことを思い出した。


今日の真琴は去年の秋のことを話してくれた。


3人で焼き芋を食べたときの暖かな気持ちが蘇ってくる。