ひと駅分の彼氏

その中にアルミホイルで巻いた芋を入れた。


「あったかぁい!」


パチパチと爆ぜる火に手をかざして思わず呟く。


太陽は沈み始めていて辺りは少し肌寒くなりかけていた。


「焼き芋なんて久しぶりね。おじいちゃんが入院する前はよくやってたんだけどね」


オレンジ色の火を見つけておばあちゃんが呟く。


その目は入院中のおじいちゃんを見ているようで、少しだけ切ない気持ちになった。


「おじいちゃん来月には退院できるんだよね?」


「そうよ。手術はうまく行ったからね」


私のおじいちゃんは先週肺がんの手術を受けた。


手術は成功し、術後の傾向も悪くない。


この調子で行けば来月に退院できるらしい。


この前お見舞いに行ったときだって、笑顔をみせてくれていた。


「それならまた食べられるよ」


私は確信を持ってそう言ったのだった。