ひと駅分の彼氏

玄関先まで見送りに出てきてくれたおばあちゃんがそう教えてくれた。


街中では焚き火をすることができないから、グリルを使うといいそうだ。


「わかった、ありがとうねおばあちゃん」


沢山のお土産をもらって玄関から出た時、真琴が目の前で足を止めた。


「真琴、どうしたの?」


「紗耶、どうせならこのいも、少し食べて帰らないか?」


「え?」


私は真琴が持っている袋の中を確認した。


確かに今食べても随分たくさん余るだろう。


そう思っている間に「すみません、ホウキを貸してください」と、真琴は庭掃除を始めたのだ。


庭に落ちていた枯れ葉があっという間に一箇所に集められていって、真琴の考えを理解した。


「おばあちゃんも一緒に食べよう!」


私は仏壇のお線香をつけるために置かれていたライターを拝借して、枯れ葉に火を付けた。


パチパチと音を立てて枯れ葉はすぐに大きな火になる。