ひと駅分の彼氏

☆☆☆

去年の冬の出来事をあまりにリアルに思い出してしまい、私は慌てて左右に首をふった。


「そのネックレス、気に入ってくれてよかった」


「うん。毎日つけてるよ」


私は首元のネックレスに触れる。


毎日つけているせいで最初の頃よりも少し色がくすんできている。


今度メンテナンスをしたほうがいいかもしれない。


懐かしい気持ちでいっぱいになっていたとき、ガタンッと電車が揺れた。


それは次の駅に到着したことを知らせる揺れだった。


「俺、ここで降りなきゃ」


真琴がそう言って立ち上がる。


「え? 学校はまだ先だよ?」


私達の通う学校まではまだ3駅先だ。


同じ制服を着た生徒でここで下車する人はいない。


そう考えてからハッと息を飲んだ。


真琴が着ている服は制服じゃない。


最初視界に入った青いスニーカーにジーンズ。