ひと駅分の彼氏

そうしていると、不意に真琴の両手が伸びてきて私の体を包み込んだ。


今までだって真琴に抱きしめられたことはある。


だけど今日はどこか違って、心臓がドクドクと早鐘をうち始めた。


「紗耶、好きだ」


耳元で囁かれて益々顔が熱くなる。


バレないようにうつむいていた顔を指先で押し上げられてキスをした。


真琴の唇は少し乾燥していてカサついていたけれど、すごく熱を持っている。


「好きだ、紗耶」


「うん……」


何度も好きだと言われた耳は今にもとろけてしまいそう。


ゆっくりと床に押し倒されても私は抵抗しなかった。


この日は、私にとって忘れられない日になったのだった。