ひと駅分の彼氏

「そうなんだ! すっごく可愛いね!」


私はすぐにそのネックレスを気に入って首につけようとした。


しかし、普段はネックレスなどつけないので、なかなか1人でつけることができない。


モタモタしていると真琴が背中側に回り込んできた。


「貸して」


短く言い、ネックレスを私から受け取る。


真琴の手のぬくもりが首筋に辺り、ドクンッと心臓が跳ねた。


今さらのように今自分は真琴と2人きりなのだと実感する。


「これでよし」


「ありがとう」


真琴の手が離れてホッとするような、少しさみしいような感覚がよぎる。


「似合ってるよ」


そう言わると照れてしまって、顔が熱くなっていくのがわかった。


きっと、今の私は真っ赤になってしまっているだろう。


なにも返事をすることができず、ネックレスの先についたハートを指先で弄びながら、うつむく。