ひと駅分の彼氏

それらが口の中で混ざりあっって溶け合って、あっという間に食べてしまった。


「ふぅ美味しかった! 真琴、本当にありがとうね!」


お腹はいっぱいだしケーキは美味しかったし、今日は大満足だ。


しかし真琴はケーキを食べ終えた頃からどこかそわそわし始めていた。


どうしたんだろう?


そう思っていると、真琴が後手からエメラルドグリーンの箱を取り出したのだ。


それは有名ジュエリー店の箱で私は目を丸くする。


細長いその形状はネックレスで間違いなさそうだ。


「これ、プレゼント」


「そんな! 私なにも用意してないよ」


慌てて体の前で両手を振り、受け取れないとアピールする。


真琴はそんな私の手にジュエリーの箱を持たせた。


「昨晩いきなり約束を取り付けたから、プレゼントは期待してないよ」


そう言われるとなんだか余計に切なくなってしまう。


私は仕方なく長方形の箱を開けた。


「わっ! 可愛い!」


中に入っていたのはハート型のネックレスだ。


「恋人へのプレゼント人気ナンバーワンなんだって」