砂嵐のいたずら




ブチッ!



私の中で、何かが音を立てて切れた。



あんな最低な男、初めて見たよ…



許せない…



バッチーーーーーン!!!


彼の左頬に私の右手がヒットした。



怯んだ隙にネクタイを抜き取ると、



「これをドクターに!」



近くにいた客室乗務員に雑誌とネクタイを渡すと彼女は先生の元に走って行った。



彼は打たれた頬をさすりながら、



『やってくれるじゃねぇか!』



そう言って、私の手首を掴んだ。



さすがの私も長身の白人男性には敵わない。



やっとの思いで振り払うと、



「ネクタイはきちんと洗って返します。

怪我人の手当てが終わったら殴るなり蹴るなり……好きにしてください。」