ふと、あのアナフィラキシー男と目が合った。 あいつ…人が死ぬ思いで救護しているのに、のうのうと雑誌なんか読みやがって! ん? 雑誌? 使える! 私は彼に言った。 「骨折している人がいるの。その雑誌とあなたのネクタイ、提供してくれないかしら?」 彼は私をちらっと見ると、 『このネクタイ、けっこう気に入ってるからダーメ!』 そう言うと、私と目を合わさずに雑誌だけ乱暴に投げた。