「お綺麗ですよ、お嬢さま」

運転手さんが、動揺する私に気づいたのか、優しく声をかけてくれた。

「あ、ありがとう。でもまだ、お嬢さまって言われるの、慣れなくて」

「大丈夫ですよ。すぐ慣れます。茜さまは、立派なお嬢さまです。だから堂々としていてください」

「ありがとう。頑張ってみます」

大丈夫、なんとかなる。ダンスも練習したし、勉強の特訓もしたんだし。私は母親から受け継いだ楽観的な性格を駆使して、どうにか気持ちを落ち着けた。