【④】恋風のワルツ〜見習いお嬢さまと5人のイケメン御曹司〜

私は、花壇のふちに座って目を閉じた。静かな夜。今日は本当にいろいろなことがあった。みんなの力でシンデレラみたいに変身させてもらったのに、自分で台無しにしてしまった。
目を開けると、汚れた浴衣、ヘアもメイクもボロボロの私。後悔を吐き出すような、深いため息をついた。
男に強く掴まれたところが痛む。腕をさすりながら月を眺めていると、虫の声に混じってかすかに足音が聞こえる。暗闇に目を凝らすと、誰かがこっちに向かって走ってきていた。怖さを感じて立ち上がる。

「待って！」

「きゃあ！」

驚いて両手を上げる。びっくりしすぎると今だに両手が上がってしまう。

「俺だよ、俺」

私の前で立ち止まったのは、隼人だった。隼人は肩を上下に動かして、大きく息をしていた。たくさん走ったのだろうか、額に汗の滴が見える。