【④】恋風のワルツ〜見習いお嬢さまと5人のイケメン御曹司〜

「ちょっとトイレに…」

ずっと忙しかったし、花火までしばらく待ち時間があるから、今のうちに行っておこう。着いていくよってみんなが言ってくれたけれど、少しだけ一人になりたかったので遠慮した。

トイレのある建物に向かって歩いていく。道に沿って提灯は下がっているし、人通りもそれなりにあるけれど、屋台のある大通りから少し離れているので、ちょっとだけ暗い。その分、虫の声がよく聞こえ、空に浮かんだ月もよく見える。