【④】恋風のワルツ〜見習いお嬢さまと5人のイケメン御曹司〜

背中越しに照れるワードを連発されて、ハードルが上がっていく。浴衣を羽織った私が、恭一郎さんの満足する仕上がりなればいいのだけれど。

「準備はいいですか。せーの」

私が浴衣を羽織って振り向くと、顔を赤くした恭一郎さんと目が合った。恭一郎さんは、右手で顔を覆って言った。

「あまりにも可愛すぎて、非科学的な言葉を使いますが、心臓が口から出そうです」

そんなこと言われたら私まで恥ずかしくなる。

「大丈夫でしょうか」

「大丈夫もなにも…ここが店内でなければ抱きしめてしまいそうです」

恭一郎さんが一歩近づいて、閉じた左手をそっと開いた。

「蝶のかんざし…」

「茜さんにきっと似合うと思って選びました。それをつけてお祭りに来てください」