「すでに色んな奴が触っているだろうし、指紋を取っても難しそうだな…ん?これは…」

光くんが答案用紙の隅についた小さな汚れを見てつぶやいた。進路指導室にあったセロハンテープをその汚れの部分に貼り付けてゆっくり剥がすと、汚れがセロハンテープにくっついた。光くんは、それを大事に手に持ち、私に言った。

「俺は行く。すぐに恭一郎が来るからここにいて。先生と話をするのは、あいつが一番上手いから、絶対なんとかしてくれる」

私は、小さく頷いた。

「この件は俺に任せてね。茜ちゃんを貶めるやつは俺が許さないから」

光くんは、私の頭を優しく撫でるようにポンと叩いてから、進路指導室を出ていった。