塾が終わると9時を過ぎ、外は真っ暗、おまけに雪まで降っていた。傘を忘れた私は、イルミネーションのついた街路樹の道を歩き出す。うっすら積もった雪は、私の足跡をくっきり残していた。

「お前、歩くのはえーな」

後ろから走ってきた隼人が、白い息を吐きながら私に言った。

「なんか用あった?」

「いや、別に…あ、模試の結果どうだった?お前も西高志願してたよな?俺、合格圏内」

「あ、私も合格圏内。なんだ、高校もまた隼人と一緒か」

「それは、俺のセリフ」

そうしてなんとなく並んで歩いていると、雪がどんどん強くなってきた。私は手のひらが冷たすぎて、はーっと息を吐く。白い息が辺りにふわっと広がった。