学園に着くと、入学式の会場に人が集まってきている。入り口の階段を登ろうとして裾を踏み、前のめりになった。

転ぶ!

そう思った瞬間、誰かの腕に抱き止められた。

「ご、ごめんなさ…」

ルカだった。何事もなかったように私に笑いかけると、魅惑的な瞳を煌めかせて囁いた。

「大丈夫。そのまま僕の腕に手を絡めて」

「は、はい」

ルカは戸惑う私の手を掴むと自分の腕に導き、エスコートしながら階段を登ってくれた。

「この学園のルールは聞いてるよね?」

「あ、はい、礼節を重んじ…」

私は大輝から教えてもらった由緒正しき学園のルールを暗唱した。

「あはは、なにそれ、誰から聞いたの?」

大輝から聞いたと言うと、ルカは「でしょうね」と言って笑った。

「でしょうねじゃねーよ」

いつのまにか大輝がいる。