イジワルだけど、大好きで



「…っ、先輩っ!!」


 私は走った勢いそのままに、先輩の大きな背中に抱きついていた。


「…えっ、す、鈴宮!?」


 先輩はとても驚いていた。


 …が、私は先輩から離れずに、逆にぎゅっとさらに強く抱きついたまま、先輩に言った。


「…先輩。私の告白断った理由って、私のことが嫌いだからですか?」


 先輩は答えない。


「それとも、先輩が卒業してしまうからですか?」


 先輩はまた答えない。


「…私は歳の差とか全然気にしませんが、先輩にとってこの2年っていう差は、とてつもなく大きいんですか?」


 私の声は次第に震えていった。


 さっき私が調べたのは、ホワイトデーでのお返しの意味について。


 先輩からもらったのはキャンディ。


 その意味はーー…、


『キミのことが好きなんだ』


「俺は…。俺は今ここで付き合おうって言って、鈴宮を縛るのが嫌なんだ。…お前は真面目だから、他に好きなやつができたりしても押し殺してしまいそうだし」


「なにいってるんですか!…私は先輩以外好きになんてなれません。先輩しか好きじゃないんです…!うぅっ…」


 私の目から、ひとすじの雫がこぼれ落ちた。


 すると先輩は後ろを振り向いて、私と目線を合わせるようにしゃがんで、


「…ごめん、泣かせるつもりはなかったんだ」


 と、優しく涙をぬぐってくれた。


 そして、真剣な目で私を見つめて、


「…俺は、鈴宮リコが好きだ」


 と言った。


 私の顔はすぐに熱を帯びた。


「それならさ、鈴宮。もしお前があと2年、俺のことを好きでいてくれたら、お前を迎えに行く」


「む、迎えに…?」


 すると先輩は優しく笑って、


「その時は、俺と付き合おう」


 と言った。


「…っ、はいっ!」


 私はそれが嬉しくて、再び涙を流した。


「っ、おいおい、泣くなよ」


「こ、これは嬉し涙です…っ!」


 先輩も、私のことが好きなんて。


 こんなに幸せなことはない。


「まぁ、あと2年。もしその間にお前が俺以外の誰かを好きになっててもいいからさ」


 と、私の頭にポンッと手を置く。


「そ、そんなこと絶対ないです!」


「いやーどうかな?…ーーでもさ、」


 すると先輩は私の頬に優しくキスを落として、そのまま私の耳元で、


「…俺は、お前のことずっと好きな自信、あるよ」


 とささやいた。


「…っ!?」


 さらに顔を真っ赤に染める私を見て、先輩は優しく笑った。


 忘れられないホワイトデーになった。