イジワルだけど、大好きで



 私がマネージャーになってもう約10ヶ月。


 私が部活後の洗濯をしていると、そこに相田先輩がやって来た。


「鈴宮」


「…相田先輩!」



「鈴宮、いつもありがとな」


 と、先輩が私の近くの壁に体を預けながら言った。


「どうしたんですか、急に」


「いや、いつも世話になってるからさ」


「…いえ、こちらこそです」


「俺らも1週間後の試合が最後だし、ゆっくり話せることもあまりないだろうしね」


 先輩のその言葉に、私は胸がざわついた。


 …そうだ、最高学年である先輩たちは、次が引退試合なんだ。


 ずっとそれはわかっていた。


 だけど、心の中でそれを信じたくなくて、現実を見ないようにしていた。


 でも、先輩の声で、言葉でそれを改めて聞いて、やっと実感がわいた。


 先輩とこうやって部活中に話せることも、選手とマネージャーとしていられることも、あと1週間なんだ、って。


「そんなこと…言わないでください」


 それは私の心の底からの思いだった。


 先輩の顔を見ることができなかった。


「言わないでって、事実だし。俺らはあと1週間で引退して、次の学年に引き継ぐ。それが部活動だろ?」


「そう…ですけど」


「ま、だからこそ俺は、俺らは全力で頑張るけどな。…頼むよ、マネージャー」


 と、雰囲気を壊すように明るい声で言った先輩は、私の肩をポンッと叩いて、私に背を向けた。


 私は、しばらくその場から動けなかった。