「マネージャー、水筒入れてくれ!」


「っはい!」


 私、鈴宮リコ。高校1年生。


 サッカー部のマネージャーをしてる。


 私が2年生の先輩から頼まれて水筒にスポーツドリンクを入れていると、


「鈴宮っ」


「ひゃあ…!」


 急に首元が冷たさに襲われ、大きな声をだしてしまった。


 後ろを振り向くと、そこにはこのサッカー部のエース兼キャプテンである3年生の相田先輩が水筒と少しの氷を持って立っていた。


「あ、相田先輩…!」


 私は恥ずかしさから、顔を赤く染めた。


 さっきの冷たさは、たぶん先輩の氷のせいだろう。


「鈴宮、これもよろしくな」


 と、相田先輩は手に持っていた水筒を私に手渡して、その手を私の頭にポンッと置いて去っていった。


 キラキラと太陽よりも輝く笑顔と共に。


 私は先輩に触れられた頭を片手で押さえたまま、先輩の後ろ姿を見送った。


 …先輩は、いつも私をからかってくる。


 普通はそれを嫌だと思うんだろうけど、私はそうじゃない。


 それは先輩のことがずっと好きだから。


 先輩に声をかけられるだけで、私の名前を呼ばれるだけで、私の心臓は言うことを聞かなくなる。


 ましてや触れられると、そこの部分は途端に熱を持つ。


 こんな日常が、これからずっと続くんだ。


 …そう思っていた。