──入学してから早いもので2週間が過ぎた。
午前中の授業が終わって、今はお昼休み。
わたしは日当たりの良い中庭のベンチに座り、俊くんの手作り弁当を食べている。
櫻乃学園では基本、お嬢様と執事が2人1組のペアで常に行動を共にしなければならないので、もちろん今俊くんも一緒だ。
櫻乃学園のそんな変わったルールにも、2週間が経って少しずつ慣れてきた。
「んー、美味しい」
彼と同居するようになってからこの2週間よく思うけど、俊くんってほんと料理も上手。
ちなみに今日のお弁当はオムライスなのだけど、玉子がふわっふわで口の中でとろける。
俊くんの作るものは、どれもプロ並みに美味しい。天才ですか。
「ああ、本当に美味しい。幸せ」
「そう言ってもらえると、俺も早起きして作った甲斐があるわ」
そっか。毎朝早起きして、朝食だけでなくお弁当まで用意してくれてるんだね。
執事とはいえ、同じ高校生なのに凄いや。
「俊くん、いつもご飯作ってくれてありがとうね。これ、すごく美味しいから。また食べたいな」
「ああ。これくらいまたいつでも作ってやるよ」
俊くんが優しく微笑んでくれる。



