翌朝。


「お嬢様、朝ですよ。起きてください」

「んー。もう少しだけ……」


わたしは布団を頭の上までかぶる。


「もう少しだけと言いながら、すでに10分以上が経ちましたが。このままだと学校に遅刻してしまいます。初日から遅刻してランクに響くといけないので、失礼……」

「ぎゃっ!!」


わたしのかぶっていた布団を、誰かに無理やり剥ぎ取られた。


「もう! 寒いんだけど」


布団を奪い取った相手を睨みつけると、それは昨日からわたしとペアになった執事見習いだった。


彼は昨日と同様に執事服を身につけている。


「ちょっと北川くん、いきなり何するの!?」

「なかなか起きないお前が悪いんだろ!? ったく、朝っぱらから俺の手を煩わせんな」

「ていうか、なに勝手に人の部屋入ってきてんの!?」

「俺は、ただ自分の仕事をしているだけだ。執事の仕事は主のお世話だからな。なかなか起きない主を起こすことも仕事のうちだと思うけど、違うか?」

「うっ……」


なっ、何も言い返せない。