「あれ、美咲じゃない?」

「美咲い〜〜〜〜♪」
「ホントだ〜〜」

「ヤバ〜〜〜イ」
「美咲だぁ〜」
「スゴ〜〜イ」

「美咲!」 「美咲♪」

「美咲よ!」 「ヤッタ〜〜♪」
「美咲が戻ってキターーーー」
「美咲」 「美咲」 「美咲」「美咲」
「美咲」 「美咲」 「美咲」
「美咲」「美咲」「美咲」「美咲」

まるで、アイドルに群がるファンのようだった。いじめなんてとんでもない、クラス中のほぼ全員が美咲の帰りを熱烈歓迎し、授業中だというのに教室では皆が美咲を取り囲み、まるでお祭りのような大騒ぎとなった。


「一体どうなってるんだ、こりゃ?」



よく見ると、クラスの何人かの娘は美咲ちゃんに対して本当に申し訳無さそうに、涙ながらに謝っていた。そんな娘達に対して美咲ちゃんは大丈夫だからと笑顔で対していた。一方でクラスの男子は、遠巻きにながめる者も多かったが、ある者はもう金輪際こんな事が無いように俺がクラスをまとめるからと宣言する男子もいた。



僕は美咲ちゃんのクラスメイトの一人に事情を訊くと、その娘は嬉しそうに事の顛末を教えてくれた。


「実は、美咲の事をいじめていた中心メンバーの『沙耶香』って娘が最近転校したんです。元々、他のメンバーは沙耶香に逆らう事が出来なくていじめに参加していただけで、美咲にはずっと謝りたいと思っていたんです。だから、美咲がこのクラスに戻って来てホントに良かった!」



そんな事があったとは!こんな絶妙なタイミングで美咲ちゃんを連れて来る事が出来たのは本当にツイていた。僕は、美咲ちゃんに駆け寄りこの最高の結果を心から祝福した。


「ヤッタな美咲ちゃん!これでクラスのみんなと修学旅行にいけるぞ!」



「ありがとう!これもみんな先生が登校を勧めてくれたおかげだよ!」



「僕だけじゃないさ。美咲ちゃんを歓迎してくれたクラスのみんなと、そしていつも美咲ちゃんを心配してくれたお母さんのおかげだよ!」



見ると、美穂さんは泣いていた。それ程までにこの瞬間を待ち望んでいたんだろう。


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