そして、当日………


その日は朝から、僕も美穂さんも何かソワソワしていて当事者の美咲ちゃんが一番落ち着いているみたいだった。


「もう、ママがそんなにソワソワしてどうするのよ。学校に行くの、私なんだからね!」



「ごめんなさい美咲、ママ……なんだか緊張しちゃって」



「美咲ちゃんの言う通りですよ美穂さん、大丈夫きっと上手くいきますよ」



「あら、そういう伊東君もさっきから膝が震えているみたいだけど、気のせいかしら?」


「あれ?…………」



「も〜〜っ!二人とも、しっかりしてよ」


美咲ちゃんを元気付けるつもりが、逆に美咲ちゃんにハッパをかけられるという何とも締まらない展開に、美咲ちゃんも美穂さんも僕も、三人で大笑いした。これが結果的には良かったみたいだ。


中学校まではタクシーで行った。時間は午前十一時四十五分………ちょうど四時限目がもうすぐ終わるという頃だ。


「大丈夫かい?美咲ちゃん」



「うん……………」



さすがに、教室が近づいて来ると美咲ちゃんの肩が震えているのがわかる。


僕も美穂さんも、教室までついて行く事は出来てもそこから先は何もしてあげる事は出来ない………全ては美咲ちゃん次第だ。



やがて、タクシーを降りた僕達三人は校舎に入り階段を登って美咲ちゃんのクラスの教室の前に立った。


そして、美咲ちゃんが教室の扉を開けた時………そこで思いがけない事が起きた。



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